旧基準機撤去で
パチスロ市場はどうなる?
有利区間で生じた遊技者心理と
上限撤廃で出来ること

旧基準機撤去のXデーが迫る!
パチスロ市場は低迷を続けるなか「有利区間撤廃」はパチスロ回復の光明となるか。

パチスロ6号機が初めて登場してから3年以上が経過し、様々な趣向を凝らした機種が登場してきた。しかし、目立ったヒット機は見当たらず、稼動も思わしくない現状に加え、旧基準機の撤去期日は、刻一刻と時が近づいている。現在、混在する5号機(主にジャグラー)が稼動上位を占めてしまっている状態では、6号機の未来はパチスロの衰勢を予感させるには十分だ。

5号機に切り替わった3年間と比較して明らかに多くの機種が6号機で「苦戦している」状況が続いている要因は、「2,400枚の上限」と「有利区間上限」の障壁である。しかし、有利区間の上限規制は1,500Gから3,000Gへ継続ゲーム数の上限引き上げが緩和され、さらに今後登場するメダルレス遊技機においては有利区間3,000Gを上限と定められた自主規制の撤廃が予定されている。

「有利区間」が及ぼす致命的欠陥

有利区間が緩和されても2,400枚の上限が残っているから、「ゲーム数が伸びたからと言って大したメリットなんて無い」と思われてしまうかもしれないが、実はそうでもない。
有利区間撤廃によって「6号機の致命的欠陥」と呼べる要素が多数解消されることになる。
その理由として「有利区間」の役割は出玉リミッタだけではなく、ゲーム性の様々な箇所に影響を与える要素になっていることが挙げられるからだ。

有利区間によって生じたデメリット  

まず、有利区間があることで、遊技者の遊技意欲が減少するポイントを再確認する。
※基本的に「AT機」に関係する要素

1. 有利区間が終わった時点で抽選周りの全ての情報がリセットされてしまう点
6号機は「沖ドキ(初代)」のようにモードを育てていくゲーム性や「まどマギの穢れシステム」「黄門ちゃまの310Wカウンター」「マジハロの錬金ポイント」のような大当り間を跨ぐシステムが5号機の様に実現できない。もし似たシステムを搭載していても、大多数の機種ではATや初当りボーナスが終わった時点でモード・ポイントがクリアされてしまう。
初当り後0Gヤメが多発するのは主にこれが原因で、単純に打った際の恩恵の無さが打ち手にキツイと感じさせてしまう。1回ごとに情報がクリアされるため、低設定だと明らかな右肩下がりのスランプを形成してしまうことで、遊技者の打つ意欲を減少させてしまう。

2. 有利区間のG数が短いため通常~AT終了までがコンパクト化せざるを得ない点
「有利区間」の最中であればゲーム数当選やモード移行など、ある程度自由自在に行うことができる。そのため多くの機種で通常時(に見える場面)が既に「有利区間」に突入した状態となっているが、一方で「有利区間」の最大ゲーム数は1,500Gが上限のため、1,500G以内で通常時+ATを収める設計にしなければならず、全体的に窮屈な設計へとなりがちである。
天井が中途半端に近い作りとなり、高ベースも相まって初当りが近いゆえに枚数も突破率もCZレベルに弱くなってしまうのだ。しかもスペック上の初当り確率自体は数百分の一と自然な確率にしたいがため結果的に天井到達率も高く、その点も不満に繋がってしまう。

こんな仕様では初当りボーナスに
まともな恩恵など持たせられない…

ここまでして通常時を「有利区間」にすべきなのか!?と一見思ってしまうが、一般的にはそうしないとG数当選・CZ抽選の高確状態・ハマリ救済・ポイントの蓄積など、自由度の高いゲーム性が一部または全部搭載できなくなってしまうという側面をもっている。これは、仕様を工夫することである程度解消出来なくもないが、ゲーム性として何らかのしわ寄せが発生してしまうことが多いのだ。

3. 有利区間から「落ちた瞬間」が見えてしまう問題点

遊技者にはある程度認知されてきたランプ等の存在…
有利区間や押し順ナビが発生する状態では、筐体の7セグやランプ等のどこかが、ひっそりと点灯している。このランプの消灯が示すのは有利区間が終了したということだ。
そのタイミングを目撃した時、今まで頑張ってきた分が全て水の泡になり、またイチからやり直しを確認出来てしまう現実…これこそが、パチスロ6号機でもっとも「ヤメたくなる瞬間=ヤメ時」かもしれない。これは、6.2号機の有利区間3,000Gまで延長をもってもなお、転落した瞬間の悲しさは変わらないだろう。

以上のことから、パチスロのゲーム性に沿って有利区間があることで遊技者が感じる心理を簡単に説明するとポイントは以下の4つとなる。※全機種が全てに当てはまるわけではない

1. 当りを跨ぐ抽選やポイントが搭載しづらい
⇒連続スルー台・大ハマリ台を打つ理由が無い
2. 天井は近いが到達率が高くなりやすい(自力当選が少ない)
⇒天井に着いた時点で低設定の判断材料に
3. 初当りが極めて弱いボーナス(AT/CZ)となりやすい
⇒数十枚で終了という機種が目立つため遊技意欲がわかない
4. 目に見える有利区間終了が明確なヤメ時になってしまう
⇒「ランプ消灯でヤメ」の後を打てば大きな不利に

上限2,400枚が大きくクローズアップされる「有利区間」。しかし、ゲームシステムとしてもかなりのマイナス要素に繋がっているのだ。

仮に「有利区間」の上限が無くなったらどう変わるのか

前段で述べた「有利区間」の欠点。上限が無くなったメダルレス遊技機では、本当に解決できるのか?ゲームバランスや適合率を考慮すると、全てを良い方向に…とはならないまでも概ねは解決できると考えられる。

「有利区間の上限撤廃」で出来ること
1. 初当り連続スルーを跨いでの特典が可能に!

・簡単に言えば5号機の「沖ドキ」や「南国育ち」のゲーム性が転落告知なく実現できる。
・「穢れ」「310Wポイント」などが初当りスルーを跨いで持ち越すことができる。
これにより連続スルー台や大ハマリ台が遊技選択肢に加わるほか、一日中凹みっぱなしの恐ろしいスランプは起こりづらくなる。

2. 深いハマリ&しっかりした見返りが可能に!
・天井が遠くなる代わりに、当った時が「押し順ナビのあるCZ」ではなくしっかり出玉を獲得できる。
・天井がとんでもなく深い&当ればほぼ完走!?の様な、バランスも可能になる。
例えば純増2枚でも天井999G・1,200Gなどにすることで、初当りATをまともな突破率・枚数の性能にすることができ、5号機のリメイクを開発してもリミッタ以外は自然な出来に近付けることができる。

3. 有利区間が引き継がれている間は、ランプが点きっぱなしで内部抽選結果がわからない!
・通常時に突然落ちることはなく、少ない出玉の時は積極的に引き継げる。
・リセット自体が滅多にされないため「たくさん出るor天国までモード転落無し」というゲーム性も可能。
ゲーム性を工夫することで「即ヤメ」を防止する作りにすることが可能。さらに滅多に訪れない「有利区間開始直後」をチャンスにすることで、より長い区間が「打つ価値のあるシチュエーション」となる。

6号機の未来!遊技者も楽しめる
パチスロ機であるために

今まで「有利区間」が抱えていた問題は継続ゲーム数の上限が撤廃されることで多数解消され、6号機に少し希望が持てる仕様になることが想像出来る。もちろん「2,400枚上限」や「中時間出玉試験の対応」など別の大きな問題は残ったままではあるが、少なくとも出玉感以外の部分は殆どが魅力的となり、ゲーム性を楽しむ遊技者にとっては遊技意欲に繋がる要素も多数散りばめることが可能となる。

しかし有利区間の上限撤廃は、メダルレス遊技機が条件なだけに、パチンコ店の設備投資の問題や対応する機械の購入費など、いまだ不透明な点も多く、先行きが見えない状況は続いている。様々な不満へ繋がった「有利区間」の上限撤廃によって、パチンコ店の負担がなるべく少ないスキームで、再びパチスロ市場に活気を期待したいところだ。
導入に先がけ、今後の課題として「6号機=つまらない」と感じているパチスロ層に向け、規則変更に伴なう6.3号機のポジティブ要素を発信して、マイナスイメージを払拭していくイメージ戦略も重要となる。またそれをいかに浸透させ、遊技意欲につなげるかも6号機復活への大きな要素になると考える。

シーズリサーチ

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