コロナ禍に潜むオンラインの影

新型コロナウイルスが流行し、日本経済や人々の「生活様式」を一変させた2020年。
パチンコ業界においても余波は大きく、緊急事態宣言後の休業や感染不安から4月以降の景気は大きな落ち込みをみせた。V字回復とまでは至らなかったが、7~8割程度に回復した矢先、新型コロナウイルスの感染者は拡大し、2021年1月、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を対象に再び緊急事態宣言が発令されることとなった。

パチンコ遊技者にとって感染を考慮し外出を控えるなど非接触志向が高まると、やはり来店型のパチンコ遊技は店舗が新型コロナ感染対策をしっかり行っていても再び自粛ムードに逆戻りとなるだろう。

そんなコロナ禍において、パチンコの遊技者と相関性の高い公営ギャンブルでは、この新しい生活様式において少しずつ変化が起きている。それが、「オンライン」という楽しみ方だ。

昨年末にシーズリサーチでは「パチンコ・パチスロ遊技者の、公営ギャンブルのオンライン参加率」を調査した。パチンコ・パチスロ以外の娯楽は例年「パチンコ・パチスロプレイヤー調査(パチンコ業界の基礎調査)」として実施しているが、本調査は、現状把握のため簡易的に行った調査となる。娯楽全般の詳細は来年のプレイヤー調査で実施するとして、今回は、月1回以上でパチンコ・パチスロを遊技する人を対象に2018年のプレイヤー調査から同条件にあたる人を抽出し公営ギャンブルのオンライン参加率を比較した。対象者の母数が違うので、参考データではあるが概ね傾向に相違はないと考える。

「競馬」「競艇」「宝くじ」の参加率が上昇。競輪はほぼ横ばいとなっている。

次に、各娯楽の年代別の参加率はこちら

20代と50代は低下。30代・40代・60代で上昇。
特に60代以上の参加率が上昇している。

20代と30代は低下。40代~60代以上で上昇。
特に20代の参加率が低下している。

20代は低下。30代~60代以上で上昇。
特に20代の低下と60代以上の上昇が大きい。

20代・30代・50代は低下。40代と60代で上昇。
特に20代の低下が大きい。

まとめ

全体でみると、遊技者の公営ギャンブルのオンライン参加率は、2018年に比べ上昇した。
年代別では、20代がいずれの娯楽でもオンラインの参加率が減少し、40代と60代以上が参加率を伸ばしている結果となった。

パチスロの参加人口は、若者層をメインに構成されているが、とくにパチンコの参加人口はパチスロに比べ、比較的ヘビーな年配層にも支えられている。
このままコロナ禍が続き、感染を懸念し来店自粛が続くとパチンコ離れが日常的になったり、年配層がオンラインなどの娯楽へ楽しみ方を変化させたりする可能性もある。

また、12月8日に総務省から発表された家計調査報告では、10月に消費支出の対前年同月実質増減率がプラスに転じたと発表されたが、一人あたりの消費金額は低下が続いている。自由に使えるお金が減ると、遊べるお金も減ることになり、今後は複数遊んでいた娯楽も選んで遊ぶスタイルに転変していく遊技者も増えることになるだろう。

とはいえ、来店型で営業するパチンコ店は、オンラインが可能である他の娯楽と特性が違うため、新型コロナウイルスと共存した営業を継続せざるを得ない。感染対策と店舗運営の両立を継続し、安心なサービスの提供を続け、安全性をお客様へ発信していくことになるが、コロナの収束が見えぬまま、新型コロナによって人々の生活様式が変わったことで拍車をかけた「オンライン」という影。この状況が長引けば、遊技者が相関性の高い他の娯楽へ移行する可能性も想定されるだけに、今後の遊技者動向が今まで以上に注目される。

調査元:シーズリサーチ