漫画・アニメ版権のシェアとライトノベル版権の可能性
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現在、全国のパチンコ店には、約380万台程度の遊技機が設置されている。
なかでも、パチンコ機は約230万台程度を占め、パチスロ機より設置台数が多い。
そんなパチンコ機市場を、カテゴリー別設置台数シェアでみてみると、1位は「漫画・アニメの版権」で、全体の約34%を占めている。ついで、海シリーズ(オリジナル):約29%、ゲーム:約13%と続くが、ゲームカテゴリーでは、「真・北斗無双シリーズ」や「大工の源さんシリーズ」の貢献度が高い。今回は、パチンコ機のなかでも、最も多く使用される「漫画・アニメの版権」のカテゴリーに注目した。
漫画・アニメ版権(シリーズ)の設置台数ランキング
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※1機種の設置が100台以上のシリーズ機計 ※2021年1月現在 シーズリサーチ調べ
全体では「花の慶次シリーズ」「エヴァンゲリオンシリーズ」「ルパンシリーズ」「北斗の拳シリーズ」が設置の上位コンテンツとなっている。特に「花の慶次シリーズ」は抜群の人気と知名度を持ちCR機を牽引してきたが「CR真・花の慶次2~漆黒の衝撃 2400」をはじめとする大量の旧基準機撤去を前に、「花の慶次」一強の構図が2021年を境に転換期となるかもしれない。
パチンコ・パチスロ機で注目されるライトノベル版権
ライトノベルとは、娯楽小説のジャンルの1つで、漫画・アニメ・ゲームなどの原作としても人気を博し、特に若者層の支持を得ている。パチンコ・パチスロ機でもライトノベル版権を使用した機種は多く出ており「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」「<物語>シリーズ」「Re:ゼロから始める異世界生活」など、多くの作品(アニメ)がパチンコ・パチスロ化された。
現在の漫画・アニメ系の版権は、人気がある作品を即パチンコ・パチスロ化することが難しく、イメージなども相まって、枯渇状態にある。そういったなかでは、比較的ライトノベルの版権は、新しいジャンルとして近年実績をあげていると言える。
例えば、昨年11月に藤商事からリリースされた「Pとある魔術の禁書目録」は、導入から3か月が経過し稼動・粗利ともにP機のなかでは貢献している機種となった。そんな「Pとある魔術の禁書目録」の営業データ・客層データからこの3か月の動きを見てみる。
※データ集計(2020年11月2日~2021年1月31日)
稼動推移
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粗利推移
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その他 営業数値
■台あたりの平均数値
■一人あたりの平均数値
■その他
【稼動】【売上】【粗利】【遊技時間】ともに全国平均を大きく上回っており、非常に高い営業数値であると言える。1人あたりの粗利をみると平均数値に比べ低いが、【入替り人数】をみると全国平均と比べ約3倍でカバーしているため、この人数こそが、本機を支える柱となっている。また、導入から3か月が経過し、一人あたりの台粗利が低いことに加え、勝率は全国平均よりも高いことで、遊技者にとって遊びやすい機種になってきたとも言える。このまま遊技者(ファン)が稼動を支えられれば、若年層の取り込みや薄利での運用、入替コストの抑制等でも、当面の間、期待が持てる機種である。
遊技属性(男女・年代)
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遊技属性(男女)
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全国平均で比べると、男性の遊技者が多く、特に20代以下・30代が圧倒的に多い。本機のメイン層となる20代以下・30代と、ライトノベルの支持層が同様であることから、コンテンツによる一定数の若年層の取り込みが、ある程度成功したとも捉えられる。また、女性層と年配層が全国平均に比べかなり低いため、この層に向けたアプローチが出来れば、より効果的な稼動を維持できるだろう。
まとめ
遊技機は、コンテンツに加え出玉等の機械性能要素に人気が大きく左右されるが、漫画・アニメ等の版権は人気や知名度がきっかけで遊技動機となることも多く、他のカテゴリーに比べ初遊技へのハードルが低い。そういった意味でも、機械性能がうまくマッチすれば、ヒット機も生まれやすいジャンルであるといえる。
毎月調査している「営業・客数データからみる遊技者の動向」では、このコロナ禍において、特にパチンコはパチスロに比べ高齢層の来店客数の減少が大きい。この状況が続く限り、自店のこまめな客層確認は営業における基本材料となるだろう。新台購入時も、客層データを視野にいれた店舗での適正な遊技機選定が必要とされるほか、店舗の設置台数や設置ラインアップの見直しも施策の一つとして有効である。
調査元:シーズリサーチ
使用データ:遊動