旧基準機撤去における影響と今後
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業界内で揺れる旧基準機の撤去問題は、さまざまな思いが交錯するなか、着々と対象機の撤去期日は迫っており、旧基準対象機の最大設置期日「2021年11月30日」まで、残り9カ月をきった。
今回は、昨年末から撤去期日を迎えたパチスロ機の影響や、対象機の撤去を想定した今後の設置台数計画、今後の新台への期待感などを全国のホール関係者に向け調査した。
パチスロ旧基準撤去機の影響
影響があった(とても影響があった+少し影響があった_計)機種では、「ミリオンゴッド 神々の凱旋」が100%となり、回答したすべての店舗で影響があった。
次いで「沖ドキ!25Φ・30Φ」「ジャグラーシリーズ(撤去対象機)」「押忍!サラリーマン番長」と続き、これらの機種も多くの店舗で影響があったと回答している。
2021年11月までの旧基準機撤去を想定した、今後の設置台数計画(予定)
パチンコ・パチスロ全体の設置台数計画では、パチンコが増台予定となり、パチスロが減台予定となっている。レート別では、パチンコが4円で増台予定となり、低レートでは減台予定。パチスロでは、20円と低レートで減台予定が多く、低レートの方が減台の傾向が高まっている。
今後の新台と中古機の導入計画(予定)
今後の新台と中古機の入替計画では、パチンコがいずれも増加予定となり、中古機より新台への意欲がやや高い。パチスロの新台は増加と減少が同程度、中古機は増加予定となった。
次に、今後発売される新台についての期待感について聞いた。
今後発売される遊技機への期待感
パチンコ
パチスロ
今後発売される新台への期待感(とても期待している+やや期待している)では、パチンコが約86%、パチスロが約22%となった。旧基準機の撤去等を含むパチスロの新規則機への移行もあり、パチスロ6号機の状況が思わしくない現状が続き、パチンコへの期待が高まってきていると言える。
また、「新台に期待している」と回答した人にどの遊技機メーカーに期待しているかを聞いたところ、以下の結果となった。※上位5メーカー抜粋
期待しているメーカー
パチンコ
パチスロ
パチンコでは、現在圧倒的シェアを誇る三洋系が約73%となった。
新規則機では、「P大工の源さん 超韋駄天」が大ヒットとなり、今後の新台においても機械性能面での開発力にも期待が高まる。
また、期待感の低下が顕著であったパチスロでは、その中でもユニバーサル系列の期待度が高い。次位となる北電子も、2021年3月現在のジャグラーシリーズ撤去対象機は約25万台程度残存している。何タイトルかの6号機ジャグラーシリーズは設置期日までにリリースされることになるが、昨年発売されたアイムジャグラーEXをはじめとする6号機のジャグラーが旧基準機撤去までに遊技者へ受け入れられるのか期待と不安が募るところでもある。
では、最終撤去期日となる11月までの旧規則機における遊技機設置台数15%削減に関する進捗は、現在どの程度行われているのか気になるところだが、状況は以下の通りとなった。
2021年11月までの旧規則機15%削減に関する進捗
予定より早く削減している店舗は約12%で、予定通りに削減出来ている店舗は約56%と、7割近くの店舗が、撤去は予定通り進んでいると回答している。一方、残りの店舗では、予定通りに進んでいないと回答していることから、事前計画はあったとして、簡単に削減することの出来ない苦しい事情も伺える。
業界全体で見ると、旧基準機撤去を遵守するホールが大半を占めているが、期日を過ぎても旧基準機を撤去せず営業を続けている店舗が存在している現状に、撤去を進める店舗では「失望」と「落胆」の声も上がっている。本来、業界一丸となって遂行したい撤去問題は、全ての店舗が同じ方向に向かっているわけではないということを、新型コロナの緊急事態宣言発令時にも痛感したが、この問題においても業界の本質が問われる局面を迎えている。
本アンケートでは、この店舗(法人)間の温度差や状況について、ホール関係者がどう感じているかという声を集めたところ、以下のような意見が多かった。(一部抜粋)
●法律に反していないという大義名分で撤去しないホールがある事は非常に残念。
●守っていないホールへのペナルティがゆるい。
●守っている企業と違反している企業で実質的に何のメリットもデメリットも発生しないのは極めて不公平。
●違反店舗には厳正に対処してほしい。
●会社の方針は分かるが業界としての足並みが乱れるのは不満。不公平である。
●業界の将来を見据えた対応が望ましい。厳しいのはどこも同じ。
●全員全店足並みを揃えて欲しい。
●違反した方が得策という不公平。
●一部の地域、法人が遵守しないことを業界全体で見られていることへの対応は行って欲しい。
●遊技客へ向けた内容の周知を行い、一体となって取り組むべき。
●何かしらの対応をしなければ、ジャグラー撤去のタイミングで一気に違反店舗が増加すると思う。
●法的罰則がない以上この様な状況になることは想定できたことなので21世紀会決議を順守しているお店が不利にならない様に動いて頂きたい。
●決められた撤去期限の機種に関しては速やかに撤去すべき。
●遵守しなければならない理由が正しく伝わっていない気がする。
多数の回答を得た中では、所謂「やったもん勝ち」というアンフェアな状況に不満が高まっている意見が大半を占めた。一方で、「お金が潤沢な法人であれば全てにおいて遵守できたと思うが、死ぬか生きるかの瀬戸際で経営判断は難しいと感じている」と、経営面においての葛藤も垣間見えた。
「旧基準機撤去後は売上、粗利の減少により、従来の営業が苦しい。しかし、これまでの背景もあるので、業界一枚岩でこの難局を乗り越えていきたい」といった苦境ながらも前向きな意見も見受けられた。
さらに遊技機メーカーには、以下の意見も寄せられた。
●法律ではなく業界の取組に賛同した店舗に何かしらの優遇があるというほうが現実的。21世紀会にはメーカーも含まれているはずなのに、罰則も恩恵もあるのかないのか分からないような状態。ホールに求めるばかりではなく、業界としての取り組みならばメーカーもある程度の痛手を負うべき。そこがまったく無かったため順守したホールが不公平感を抱く。
●遵守事項を守らない企業への制裁の強化をメーカーにもっと呼び掛けて欲しい。
●現状メーカーごとの温度差があるのは理解しがたい。店舗、メーカーともに21世紀会決議に基づき履行するように取り組んで頂きたい。
こういった意見もあってか、今後発売される新台においては、一部の遊技機メーカーで、対象店舗に優遇が設けられるといった流れもある。コロナ禍も相まって、遊技客の減少は続き、ホール経営も厳しい状況が続いている。予定されている撤去対象機が、相当数ある上に、年々高騰する新台の価格や望まれる入替機の新台供給も間に合っていないことから、撤去を取り巻く環境面でも業界全体として対応することが望まれる。
調査元:シーズリサーチ