パチンコ市場の状況と
Withコロナ時代の営業戦略

長引く新型コロナウイルスの収束は、ワクチン接種の普及が一縷の望みでもあったが、感染者の増加に歯止めがかからず、抗原性の変化で新規変異株も増加するなかでは、この状況がさらに長期化することも想定される。
新型コロナ感染拡大の影響を受け、パチンコ・パチスロの参加人口は減少し、店舗の稼働もコロナ流行前に戻る気配を見せない昨今、「Withコロナ時代の営業戦略」についてデータをもとに紐解いていく。

【現状の把握】

新型コロナにおける緊急事態宣言後の遊び方変化:来店頻度・投資金額・遊技頻度

出典:パチンコ・パチスロプレイヤー調査2021

年代の高い層ほど、来店・投資・遊技頻度で減少割合が高い傾向にある。
全体では、特に30代以下が新型コロナの影響を受けにくい客層であるといえる。

パチンコの遊技頻度の変化

出典:パチンコ・パチスロプレイヤー調査2021

1年間の遊技頻度では年代の高い層から低い層にかけて遊技増加割合が高い傾向にある。
1年以内にパチンコを始めた新規者も若年層が多く、新規者全体を年代別でみると30代以下は約75%を占めている。

コロナ前とコロナ後の4円パチンコの客数・客層

出典:全国遊動

2020年1月の新型コロナ前とコロナ後を比較すると、1回目の緊急事態宣言で大きく遊技客が減少するも、その後は約8割程度まで回復、以降大きな変化はない。
男女別では、男性が約75%から約79%へ割合が上昇し、女性は約25%から約21%へ低下した。年代別では男女ともに30代以下の影響が少ない。

パチンコ年代別の投資金額

出典:パチンコ・パチスロプレイヤー調査2021

一日あたりの平均投資金額を年代別でみると、投資金額が多いほど年代の若い層の割合が高く、3万円以上は30代以下が約52%と半数を占めた。この年代が遊びへの投資に比較的余裕がある層であるといえる。

来店頻度・遊技頻度・投資金額など、こういったデータから見えてくるのは、コロナ禍に強い客層は「30代以下の若年層」ということになる。
すなわち、このコロナ禍においては、店舗で囲い込みを行うべき重要なターゲット客層である。

では、この客層が好む機種はどのような機種であるか、最新データから傾向をみる。

20代以下と30代が打つ割合の高い機種

20代以下の割合が高い機種
30代の割合が高い機種

※集計期間2021年7月1日~7月31日 ※設置台数1,000台以上対象
出典:全国遊動

30代以下に好まれる機種は、「アニメコンテンツ」が上位となった。
漫画やアニメ系コンテンツのシェアは、現在のパチンコ市場全体の約34%(自社調べ)を占めているが、なかでも若年層に人気の高いコンテンツがパチンコでも人気の高い機種となっている。

機種のスペックは、ランキングをみてもミドルタイプ(大当り確率1/319タイプ)が多い。

新基準機全体では「P大工の源さん超韋駄天」や「Pとある魔術の禁書目録」「P真・牙狼」など、人気のある高稼働機種は軒並み319スペックとなっており、このタイプは現在のトレンドであるとも言える。

現在のミドルタイプは、メーカーからリリースされる新台が多いこともあって市場台数も多いが、プレイヤーの満足度も今後の動向において必須要素となるため、調査結果から現状をみる。

新基準機の満足度

※パチンコのスペック分類

出典:パチンコ・パチスロプレイヤー調査2021

新基準機の満足度について、意外にも出玉は少なくなるものの、確率が甘くなるほど満足度が高くなっている。
今回ターゲット客層と位置付ける30代以下ではミドルタイプより「ライトミドルタイプ」の満足度が最も高かった。

営業データからみると、4円パチンコは玉単価・玉粗利が第一回目の緊急事態宣言後から上昇をみせている。

出典:全国遊動

パチスロの状況も思わしくないなか、売上や粗利を確保する上では、パチンコの高単価ミドルタイプで…といった流れもあるが、プレイヤーの視点からすると、この営業が続けば続くほど遊技環境は厳しい状況をまねき、もともと減ってしまったプレイヤーに加え、さらに既存のプレイヤーまでもがパチンコ離れを引き起こす負のループが起こりかねない。

今後は、ミドルタイプだけでなくライトミドルタイプ程度のスペック帯で、機種のヘビー化(機種のリピート)を狙い、ミドルタイプに近い機種で受け皿を作っていくことも必要となるだろう。

また、若年層に人気のアニメコンテンツは、コンテンツからパチンコを遊技する新規プレイヤーの獲得にも期待が持てる。確率が低いミドルタイプよりライトミドルタイプ程度のスペック帯の方が、遊技への投資のハードルが低く、当ると楽しいという成功体験に加え、出玉感も体感しやすい。こういった状況だからこそ、遊技者の裾野を広げ一人でも多くの新規プレイヤーを獲得することもこれまで以上に望まれる。

長期化するこの状況を乗り切るためには、若年層の獲得と囲い込みがデータ上では有効性が高い。ターゲット層にあった施策を軸として、集客手法や新台を導入する際の機種選定を思考するなど時代にあった営業戦略が、コロナ禍においての一助となるだろう。

調査元:シーズリサーチ

【本データをご使用の際は、調査元:シーズリサーチを必ずご明記下さい。】

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